単焦点眼内レンズとは
白内障手術では水晶体の代わりとなる人工の眼内レンズを挿入します。そのため、手術前に患者さんの日常生活に合った眼内レンズを選んでおく必要があります。
眼内レンズは半永久的に使えるため交換は必要なく、取り外して洗浄するなども不要です。ただし、入れてしまったレンズを取り替えるのは簡単ではありません。眼内レンズにはいろいろな種類がありますので、患者さまのライフスタイルやお好みに合わせて、適切なレンズを選ぶことが重要です。
眼内レンズには、近くと遠くのどちらか一方に焦点を合わせる「単焦点レンズ」、遠近両用の「多焦点レンズ」とがあり、それぞれ長所と短所があり、保険が適用されるのは単焦点レンズになっています。
単焦点レンズは、「近く」「遠く」のどちらか片方に焦点を合わせたものがあります。近い距離に焦点が合う眼内レンズでは、遠くのものを見るときに眼鏡などが必要になります。逆に遠い距離に焦点が合う眼内レンズの場合は、手元のものを見る時に眼鏡などが必要です。どちらを選ぶかを決めるためには、どちらの距離を見る時に眼鏡をかけたくないかをポイントにすると選びやすいと思います。
近くにピント(近くが見える)
近くは裸眼で見え、遠くがよく見えない近視の方には、眼鏡なしで手元が見える度数の短焦点眼内レンズが適しています。デスクワークをされている方や、仕事や趣味で手元の作業を行う機会が多い場合に向いていると言えます。手術後の裸眼視力は0.1~0.8程度ですから、読書には適していますが、テレビはぼやけて見えますし、遠くを見るためには眼鏡が必要です。
遠くにピント(遠くが見える)
遠くは裸眼で見え、近くを見るために老眼鏡をかけていた方には、眼鏡なしで遠くが見える度数の単焦点眼内レンズが適しています。正視、遠視、近視でコンタクトレンズを長く使ってきた方に向いていると言えます。テレビを観るのに眼鏡は必要ありませんが、携帯(スマートフォン)や新聞を読む、編み物をするなど手元を見る際には眼鏡が必要になります。
乱視矯正について
目の表面にある角膜の歪みによって乱視が起こります。通常の眼内レンズでは乱視の矯正ができないため、予想より視力が上がらないケースがあります。そのため白内障手術後も、乱視矯正用の眼鏡が必要になる場合があります。
最近、乱視も矯正できる眼内レンズが登場し、乱視矯正用の精度が高いレンズの移植が可能になっており、手術後に改めてレンズを追加する治療もできるようになっています。
多焦点眼内レンズとは
多焦点レンズは複数の焦点を持っているため、術後にできるだけ眼鏡ネ無しで過ごしたい方に向いています。ただし、多焦点レンズには向きと不向きがあり、全ての方が良い結果を得られるものではありません。また、単焦点レンズは保険適用ですが、多焦点レンズは保険適用されておらず、自費診療となるためかなり高額となってしまいます。