眼瞼痙攣(けいれん)・腫瘍

眼瞼痙攣・片側顔面痙攣とは

まぶたの痙攣は、徐々に痙攣する範囲が広がっていったり、まばたきをスムーズに行えなくなります。

眼瞼痙攣(けいれん)

まぶたを開けにくくなる症状が特徴です。まばたきが増えたり、まぶしさを伴う場合もあります。原因はまだ完全に解明されているわけではありませんが、脳の深部にある大脳基底核の神経回路の異常が関与しているのではとされています。

片側顔面痙攣

目の周りだけでなく、頬や口、あごなどにまで痙攣が広がっていくのが特徴です。顔の筋肉を動かしている顔面神経の障害によって起こります。進行すると生活に支障が出てくる場合もあります。

眼瞼痙攣の症状

眼瞼痙攣の症状痙攣と言うとピクピク動くように感じますが、眼瞼痙攣はまぶたを開け閉めするスイッチが壊れてしまったようなイメージを思い浮かべると理解しやすいと思います。目の開けにくさ、まばたきの増加、まぶしさ、目の乾き、目を開けているのがつらいなど、多彩な症状があります。

眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の治療

ボツリヌス療法

痙攣の症状を改善するボツリヌス療法を行っています。ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンが神経と筋肉の伝達を遮断して症状を改善します。眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の両方に可能な治療法で、症状の改善が期待できます。

注射後、効果が現れるのは2~3日後からで、効果の持続する期間は3~6ヶ月程度です。それを過ぎると症状が再び現れてきますので、効果がなくなってきたら再度治療を受けます。薬の効き過ぎによる閉瞼不全、角膜炎、眼瞼下垂といった副作用が報告されていますが、1~2週間で改善する一時的なものです。

眼瞼腫瘍(治療・日帰り手術)

まぶたはさまざまな腫瘍ができやすい部位です。見た目や症状があまり変わりなくても原因や治療法が全く異なるものもあります。

ものもらい(良性腫瘍)

まぶたが腫れて痛みや痒みが起こります。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

まぶたの脂腺や汗腺が細菌に感染して腫れたものであり、抗菌薬の軟膏や点眼薬、内服薬で治療を行います。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

マイボーム腺という脂腺に脂質が溜まって炎症を起こしています。治療ではたまった脂質を掻き出すために局所麻酔を使用した手術が必要になります。

眼瞼黄色腫

脂質を摂取した細菌増えて、皮膚の下に淡黄色の腫瘍を作ります。良性腫瘍であり、特徴は境界がはっきりとした平坦な形状です。左右対称に発生し、局所麻酔による手術で切除します。高脂血症との関連が指摘されています。

乳頭腫

確執が増殖した腫瘍であり、まぶたのふちにできることが多く、良性です。局所麻酔の手術で切除します。

脂漏性角化症

加齢が原因となった良性腫瘍で、手術で切除可能です。

汗管腫

大きい場合には手術で切除しますが、数が少なく小さい場合には表面を削ったり、液体窒素で凍結させる治療も可能です。

ほくろ(母斑)

生まれつきのものと、加齢によって現れるものがあります。メラニン色素を含むメラノサイトという細胞が皮膚に集まってできる腫瘍です。手術やレーザーによって治療し、併用することもあります。大きなほくろを切除した場合、周囲の皮膚をずらす皮弁や皮膚移植などが必要になるケースもあります。

基底細胞癌(悪性腫瘍)

基底細胞という表皮を構成する細胞が増殖した腫瘍で、まぶたに起こる悪性腫瘍では最も多くなっていますが、遠隔転移がまれですので、悪性度は比較的低いとされています。手術で全切開し、必要な場合には放射線治療を併用します。

扁平上皮癌

表皮の角化細胞から発生し、発育が早く進行するとリンパ節・遠隔臓器に転移する悪性度が高い腫瘍です。手術による切除は転移がない場合に行い、転移があれば化学療法や放射線療法を併用することになります。

脂腺癌

Moll腺やZeis腺というまぶたにある皮脂腺から発生します。脂漏性角化症に似ていますが、成長速度が速いことが特徴になっています。リンパ節に転移しやすい傾向があり、悪性度の高い腫瘍です。治療では周囲の皮膚を含めて全て切除し、まぶたの再建手術も行います。放射線治療を併用する場合もあります。

メルケル細胞癌

メルケル細胞は、皮膚の感覚をつかさどっている細胞で、メルケル細胞癌の特徴は、盛り上がりと赤さです。徐々に大きくなり、リンパ節に転移しやすい悪性度が高い腫瘍です。

よくある質問

まぶたがピクピクするのはストレスや疲れのせいだけですか?何が違えば「眼瞼けいれん」を疑いますか?

一般的な「まぶたのピクピク」は、睡眠不足や一時的な疲れ、カフェインの摂りすぎなどで起きる一過性の筋肉のけいれんで、多くは数日程度で自然におさまります。これに対して眼瞼けいれんでは、「まぶたが自分の意思に反して閉じてしまう」「目を開けているのがつらい」「まぶしさが強い」「瞬きが極端に増える」など、日常生活に支障が出る症状が続くことが特徴です。 眩しくて目を細める、テレビを長く見ていられない、外出が怖くなるなどの状態が続く場合は、単なる疲れ目と自己判断せず、眼科での相談が勧められます。

眼瞼けいれんは精神的な病気や「気のせい」と言われることがありますが、本当に病気なのでしょうか?

眼瞼けいれんは、脳の深部にある大脳基底核などの神経回路の異常が関係していると考えられており、「気の持ちよう」や性格の問題ではありません。 うつ病や不安障害と併発することもあるため誤解されやすいのですが、神経と筋肉の伝達に関わるはっきりした「器質的な病気」であり、ボツリヌス療法などで症状の改善が期待できる治療対象の疾患です。

片側顔面けいれんと眼瞼けいれんはどう違うのですか?

眼瞼けいれんは主に両目のまぶた周囲が中心で、まぶたを開けにくい、まぶしさがつらいといった症状が主体になるのに対し、片側顔面けいれんは、片側の目の周りから頬・口元・顎へと、顔の半分全体にけいれんが広がっていくことが特徴です。 片側顔面けいれんでは、顔面神経が血管などに圧迫されることが原因となる場合があり、ボツリヌス療法に加えて、脳神経外科的な検査や治療の検討が必要になるケースもあります。

ボツリヌス療法は一生続けなければいけませんか?やめるとどうなりますか?

ボツリヌス療法の効果は一度の注射で約3~6か月持続し、その後ゆっくりと薬の作用が弱まっていきますので、症状がつらくなってきたタイミングで繰り返し治療を受けるのが一般的です。 治療を中止したからといって症状が急に悪化するわけではなく、薬が切れるにつれて徐々に「もとの症状」に戻っていくイメージで、そのつどご本人の生活の状況や希望に応じて次回注射の間隔を調整していきます。

眼瞼けいれんや片側顔面けいれんは、運転や仕事にどんな影響がありますか?

まぶたが勝手に閉じてしまう、強いまぶしさで目を開けていられないなどの症状があると、自動車や自転車の運転時に危険が生じることがあります。そのため、症状が強い間は運転を控える、ボツリヌス療法で症状が落ち着いている時期に限定するなど、安全面を重視した判断が必要です。 パソコン作業や対面での接客でも、まばたきの増加や目の開けにくさが負担になることがあり、治療によって症状をコントロールすることで、仕事や日常生活の質を大きく改善できる方が多くみられます。

まぶたの「できもの」は、どんなときに早めの受診が必要ですか?

ものもらいのように赤く腫れて痛みがあるできものの多くは良性ですが、「急に大きくなってきた」「表面がただれている」「出血しやすい」「硬くて動きにくい」「長期間治らない」といった特徴がある場合は、悪性腫瘍の可能性も否定できません。 特に、形がいびつ、色がまだら、まつげの生え方が変わってきた、といった変化があるときは、早期に眼科で診断を受けることで、必要に応じて切除・病理検査を行い、重い病気を見逃さずに治療につなげることが重要です。

まぶたの腫瘍を取ると、見た目が大きく変わってしまいませんか?

まぶたは顔の中でも目立つ部分のため、腫瘍の切除では「確実に取り切ること」と「まぶたの形やまつげの向きをできるだけ自然に保つこと」の両方を考慮して治療計画を立てます。 腫瘍の大きさによっては、周囲の皮膚をずらして縫い寄せる皮弁や、別の部位の皮膚を移植する再建手術を併用することで、まぶたの機能(まばたき・閉じる力)と見た目のバランスをできるだけ保つよう工夫します。

悪性のまぶたの腫瘍と言われた場合、どのような検査や治療の流れになりますか?

悪性腫瘍が疑われる場合には、まず腫瘍の一部または全体を切除して病理検査を行い、「どの種類のがんか」「どの程度広がっているか」を確定します。 その結果に応じて、追加の広範囲切除、リンパ節など周囲への広がりを調べる検査、放射線治療や化学療法の併用などを検討し、必要に応じて他の専門科とも連携しながら、再発・転移のリスクをできるだけ抑えつつ、まぶたの機能と見た目を両立させる治療方針を立てていきます。

この記事の執筆者

交野院 院長 大浦 淳史 おおうら あつし

略歴

  • 京都大学薬学部卒
  • 大阪大学医学部卒
  • 大阪厚生年金病院
  • 国立大阪南医療センター
  • 星ケ丘厚生年金病院眼科部長
  • たおもと大浦アイクリニック交野院 院長

資格

  • 医師免許
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 難病指定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師

詳しくはこちら

香里院 院長 垰本 慎 たおもと まこと

略歴

  • 関西医科大学医学部卒
  • 関西医科大学附属病院
  • 小倉記念病院
  • 米国ジョンズ・ホプキンス大学
  • 天理よろづ相談所病院
  • 関西医科大学附属枚方病院
  • 関西医科大学香里病院眼科部長・病院教授
  • たおもと大浦アイクリニック香里院 院長

資格

  • 医師免許
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 難病指定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師

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