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目がかゆい原因と治療方法

目がかゆい原因と治療方法

目がかゆい原因と治療方法目がかゆくなるのは日常的によく起こります。特に強いかゆみが起こっている場合には、眼疾患が疑われます。また近年では日本人の5人に1人が花粉症だとされており、春先に強い目のかゆみで悩んでいる方が増えています。
ここではさまざまな原因で起こる目のかゆみについてご紹介しています。

目がかゆくなるメカニズム

脳が周囲の状況を判断するために、目から入ってくる情報はとても重要なので、目は小さなゴミが入っても異物感や痛みを感じるなど、繊細な感覚を持っています。そのため、髪の毛が触れた刺激などでかゆみを起こすことはよくあります。
眼疾患による症状として、目のかゆみが起こっている場合もあります。代表的なものに結膜炎麦粒腫(ばくりゅうしゅ)、霰粒腫(さんりゅうしゅ)、眼瞼炎(がんけんえん)があります。
人間の体に備わっている「免疫」によってかゆみが起こる場合もあります。免疫は外部からの異物を攻撃して排除するシステムです。ウイルスや細菌といった異物は免疫によって身体から排除されますが、異物が侵入してきた際にその刺激を受けた細胞がヒスタミンを分泌して炎症を起こし、それをきっかけに排除が行われています。このヒスタミンによる炎症が、かゆみや痛み、腫れを起こしています。
さらに花粉症などのアレルギー性疾患では、本来であれば異物として認識しない花粉などを異物と判断してしまい、免疫が過剰反応を起こしてしまうため、かゆみなどを起こします。

目のかゆみの診療

刺激に対する一時的な反応、眼疾患、炎症、アレルギーなど、原因を突き止めるために検査を行い、症状に合わせた治療を行います。眼科医であれば見ただけで判断できる場合もあります。視力検査や眼圧検査に加え、細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)でまぶたや目に起きている異常をくわしく調べます。
ウイルスや細菌による感染の有無の確認や特定、ドライアイの可能性がある際には涙の量や質、目の表面に傷が無いかなどを検査します。

目のかゆみの原因疾患とは

アレルギー性結膜炎による目のかゆみ

アレルギーを起こす物質であるアレルゲンが目に入って起こる結膜炎です。結膜は白目の部分を覆っている透明な膜です。かゆみ以外に充血や涙、目やに、異物感などの症状も起こります。
花粉症による目のかゆみも アレルギー性結膜炎で起こります。こうした季節のものと、時期を限らず症状が現れる通年性があります。通年性では、ダニやカビなどによるものが多くなっていますが、最近はコンタクトレンズの汚れによって起こる場合があることもわかってきています。

アレルギーによる結膜炎には、以下のものがあります。

・春季カタル

アレルギー性結膜炎の一種ですが、特に症状が重く、子どもの発症が多いのですが、思春期以降には治まっていくことが多いという特徴を持っています。症状ではかゆみの他、まぶたの裏側にできる小さな隆起(乳頭)や黒目と白目の境の腫れがあります。
以前は春から夏に症状が悪化する場合が多かったのでこうした名前がついていますが、通年性であり、アトピー性皮膚炎を併発するケースがよくあります。主な原因となっているのは、ハウスダストだと見られています。
重症化すると角膜炎を起こし、目をあけていられなくなります。

・アトピー性角結膜炎

アトピー性皮膚炎をともなう慢性のアレルギー性結膜炎で、アレルゲンが複数関与しており、冬に悪化しやすい特徴を持っています。症状は春季カタルとほぼ同様ですが、より重症化する傾向があり、眼瞼炎を併発したり、角膜に大きな悪影響お与えることもあります。こちらは子どもではなく、成人の発症がほとんどです。

・巨大乳頭結膜炎

コンタクトレンズについた汚れが主な原因となって起こるアレルギー性結膜炎です。タンパク質や脂質、ゴミなど落としきれなかった汚れに細菌が繁殖して起こるとされており、まぶたの裏側にでこぼこの巨大乳頭ができます。かゆみが起こる前に、コンタクトレンズのズレや違和感で気付く場合もあります。特徴的な症状に、ゼリーのような目やにがあります。

ウイルス性結膜炎による目のかゆみ

アデノウイルスやヘルペスウイルスなどによる感染で起こる結膜炎です。はやり目(流行性角結膜炎)もウイルス性結膜炎です。他の人への感染力が強いため、できるだけ早く治療を受けると共に、感染を広げない対策も必要です。

細菌性結膜炎による目のかゆみ

黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などにより起こる結膜炎です。普段から身の回りに存在している細菌ですが、なんらかの理由で免疫力が落ちている時にかかりやすくなります。ウイルス性に比べると感染力はさほどではありませんが、免疫力の低い高齢者や幼児には写りやすいのでご注意ください。

麦粒腫による目のかゆみ

まぶたにある汗を分泌する腺や、涙の蒸発を防ぐ脂を分泌するマイボーム腺が黄色ブドウ球菌などに感染して炎症が起こっています。一般的にものもらいという名称が知られています。炎症が強くなると、痛みや腫れが強くなりますが、膿が排出されれば自然におさまっていきます。腫れが長引いている場合には切開を行って膿を出す場合もあります。

霰粒腫による目のかゆみ

細菌感染ではなく、マイボーム腺が詰まってしこりができ、目が腫れぼったくなります。いつの間にかなくなってしまうこともありますが、しこりが細菌感染を起こすとかゆみをはじめ、痛みや腫れ、化膿といった症状が現れはじめる急性霰粒腫となります。
しこりが角膜を圧迫して視力に悪影響を及ぼす可能性もあるので、しこりの大きさや場所により手術も検討されます。

眼瞼炎(がんけんえん)による目のかゆみ

まぶたの炎症で、再発しやすい特徴を持っています。起こる場所により名称や治療法が変わります。まつげの根元に起こる眼瞼縁炎(がんけんえんえん)には感染性とそうでないものがあります。まぶたの皮膚に起こる眼瞼皮膚炎や目尻に起こる眼角眼瞼炎(がんかくがんけんえん)」はアレルギー反応が原因です。アレルゲンは薬品、化粧品、シャンプーやヘアカラー、金属、ゴム、皮革、植物、食品など幅広いことも大きな特徴です。

ドライアイによる目のかゆみ

涙の量や成分のバランスが乱れて、目が乾きやすくなっている状態です。正常であれば涙が保護してくれていた刺激が直接、目の表面に届いてしまうため、かゆみだけでなく、傷も付きやすくなりますし、感染リスクも高まってしまいます。

目のかゆみの治療

アレルギーが原因である場合には、抗アレルギー点眼薬などで症状を緩和させることが基本になります。ステロイド剤を使用することもあります。
コンタクトレンズが原因に関わっている可能性がある場合には、眼鏡に変えて治療を行っていき、改善してきたらレンズの種類などをしっかり選んで、清潔を保つ手入れ方法の指導を受けた上でコンタクトレンズの装用が可能になります。
感染が原因の場合、細菌感染であれば効果が確認されている抗菌薬の点眼を行います。疾患によっては、眼軟膏や抗生物質、抗炎症の内服薬の併用も行います。ウイルスには細菌感染防止目的の抗菌薬や症状緩和目的の抗炎症薬の点眼になります。感染力が強い場合には、二次感染を防ぐ方法をお伝えします。
腫れや乳頭などに対しては切開や切除を行う場合もあります。
ドライアイでは、人工涙液や涙に含まれる有効な成分を補給したり、分泌を促進する点眼薬、目の潤いを長く保つ成分が入った点眼薬などを使用します。点眼だけでは効果がほとんど見られない場合には、涙の排出口である涙点をふさぐ涙点プラグを使った治療も検討します。

目のかゆみの予防

目のかゆみは、さまざまな眼疾患の初期症状として現れますので、早めに眼科を受診することで重い症状を出さずに治すことができます。
アレルギーで起こることも多く、これに関してはアレルゲンを特定することでそれをできるだけ避けることができ、症状緩和に大きく役立ちます。

コンタクトレンズなどの手入れ不足はアレルギーや細菌感染の原因につながりますが、目を何度も洗うなど過剰な手入れも目にはよくありません。清潔を保ち、適切なケアを心がけ、目を乾燥させないように心がけて、目の健康を保ちましょう。

かゆみが起きた際の対処

  • 目をかくのはNG
  • 冷水で絞ったタオルを乗せて冷やす
  • 人工涙液で目を洗う
    ※水道水や市販の目薬は頻繁に使うとよくありません。
  • 花粉症の予防法
  • アレルゲンを避ける
    眼鏡は目に入る花粉の量を減らしてくれます。花粉ガード用の眼鏡はさらに有効です。マスクや帽子の着用と、玄関前でよく払って部屋に入るのも効果があります。
  • 初期療法を受ける
    アレルゲンである花粉飛散の数週間前に抗アレルギー薬点眼をはじめることで、そのシーズンの症状を軽減できることがわかっています。早めに受診して適切な時期にスタートさせましょう

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