「いつも眠そう」「やる気が見えない」「老けて見える」などといわれるのは、目の回りのたるみが原因かもしれません。「目は口ほどにものをいう」といわれるように、表情の中でも大きなウェイトを占めています。まぶたや目の下がたるむことで他人に悪い印象を与えてしまうのは残念ですよね。今回は専門医の監修の元、まぶた・目元のたるみの原因について説明します。
まぶた・目元のたるみの原因とは
目の回りのたるみには、上まぶたがたるむものと、目元(目の下)がたるむものの2つがあります。目元には、笑ったときなどにぷっくりと膨らむ涙袋のほか、眼窩脂肪が膨らんでできる逆三角形の目袋があります。目の周囲の皮膚は元々薄く、ちょっとしたことでたるみやすい部分です。
まぶたがたるむ原因
まぶたがたるんでくると眼球の前にまぶたの皮膚が垂れ下がってきて、眠そうな、覇気のなさそうな表情に見えたりすることがあります。また、まぶたが視界を狭めてしまうため、常に額にシワを寄せながらものを見る癖がついてしまい、機嫌が悪そうだったり老けて見えたりすることもあります。
上まぶたがたるむ原因はおもに以下の2つです。
老化による皮膚のたるみ
加齢によって皮膚にたるみができるのは、他の部分の皮膚と同じです。目を頻繁に擦ったりメイクやスキンケアでまぶたの皮膚を伸ばしてしまうこともあります。
眼輪筋の衰え
眼輪筋とは眼の回りをぐるりと取り囲んでいる筋肉で、目を開けたり閉じたりします。
加齢とともに眼輪筋は衰えてきますが、パソコンやスマートフォンなどの長時間作業で同じ表情を続けていることで眼輪筋や他の表情筋が衰えることもあります。
眼輪筋が衰えてくると、まぶたや周囲の脂肪を支えきれなくなって、まぶたがたるんで下がる原因となります。
目元がたるむ原因
目元がたるむ原因はおもに以下の3つです。
老化による皮膚のたるみ
加齢によってヒアルロン酸やコラーゲンが減少して皮膚のツヤや張りが失われたり、筋肉が衰えてやせたり、脂肪を支えきれなくなって下がってきたりして、目元がたるんできます。
眼窩脂肪の膨らみ
目袋の眼窩脂肪が膨らんで飛び出すことで、皮膚のたるみを引き起こすことがあります。眼窩脂肪は目元のクマの原因にもなります。
まばたきの減少
パソコンやスマートフォンの画面を見ているときには画面を凝視しがちで、通常時よりもまばたきの回数が4分の1程度に減ってしまうことが分かっています。これによって筋肉が衰え、たるみができてしまうことがあります。涙袋も筋肉のため、影響を受けてたるみやシワとなってしまうこともあります。
眼瞼下垂とは
上まぶたが垂れ下がり、目が開きにくくなって視野を狭めるような状態を眼瞼下垂(がんけんかすい)といいます。ものが見えにくいだけでなく、見るときに眉をつり上げて目を開けようとしたり、あごを上げて視野を確保しようとしたりするため、目の周囲の筋肉が常に緊張状態を強いられ、頭痛や肩こりなどを引き起こす原因となります。
症状と原因
眼瞼下垂の程度については軽度から強度まで3段階があります。
軽度:上まぶたの縁が黒目にかかり、瞳孔にはかかっていない状態
中等度:上まぶたの縁が瞳孔の上半分にかかっている状態
強度:上まぶたの縁が瞳孔の下半分にまでかかっている状態
原因には以下の4つが考えられています。
老人性下垂
老人性下垂では加齢によってまぶたがゆるんだり、筋肉が弱くなった結果、まぶたが落ちてくるものです。
コンタクトレンズ下垂
コンタクトレンズの装脱着時にまぶたを引っ張ってしまうことが原因といわれています。
白内障などの手術による下垂
手術後の炎症などの影響でまぶたが下がってくることがあります。
先天性下垂
生まれつきまぶたを引き上げる筋肉のはたらきが弱いもの。
眼瞼下垂が悪化すると、めまい、吐き気などを感じることがあります。交感神経が緊張を引き起こすこともあります。
自己免疫疾患である重症筋無力症(難病)や動眼神経麻痺などでも眼瞼下垂は起こります。この場合、ものが二重に見える症状を呈することもあります。
眼瞼下垂の治療方法
眼瞼下垂の治療は一般的に手術で行われます。
老化によって皮膚がゆるんでいる場合には皮膚を切除して縮めます。筋肉の力が残っている場合にはゆるんだ筋肉を縫って縮め、力を回復させます。
いずれもレーザーメスによる施術で、時間は20分程度、日帰り手術が可能です。
よくある質問
眼瞼下垂に関するよくある質問をまとめてみました。
手術に痛みはありますか?
局所麻酔で行いますので、とくに強い痛みを感じることはありません。術後、腫れたり内出血したりすることもありますが、1、2週間で元に戻ります。
手術後に入浴、運動などをしても大丈夫ですか?
首から下の入浴は翌日から可能です。ただ、傷口に障るため、洗眼、洗髪は2日ほど控えましょう。術後1、2週間後に抜糸しますが、1ヵ月ほどは激しい運動は避けてください。
ハードコンタクトレンズは使用できるようになりますか?
可能ではありますが、あまりお薦めしません。下垂が再発したり、進行したりすることがあります。
手術のついでに二重にしてほしいのですが?
機能回復が目的で美容整形手術ではありませんので、すべてにお応えすることはできません。目立つところですのできれいに仕上げることを優先します。
たるみと眼瞼下垂はどう違いますか?美容と医療の境目は何ですか?
たるみは皮膚や脂肪、筋のゆるみによる外見変化が主で、眼瞼下垂は瞼が瞳孔を覆って視野を狭め、機能障害(見えにくさ、肩こり・頭痛)を伴いやすい状態です。 視界が遮られる、眉を上げないと見えない、額のしわが増えるなど機能的訴えが強い場合は医療的治療(保険適用のことあり)の検討対象になります。 見た目の改善のみを目的とする処置は美容的介入にあたり、適応や費用が異なります。
コンタクトレンズや目をこする癖は本当に悪化要因ですか?
長年の装着・脱着で瞼板挙筋腱膜に微小ダメージが蓄積し、加齢変化と相まって下垂・たるみを助長します。 こする動作は皮膚の伸展と眼輪筋への負荷、マイボーム腺障害を通じて乾燥・炎症を誘発し、皮膚の質感低下や腫れぼったさを悪化させます。 レンズの扱い・衛生と、こすらない生活習慣が予防の基本です。
自分で判別できる簡易チェック(要医療のサイン)はありますか?
片手で眉を押さえて動かないようにし、もう片手で左右の瞼の開き(黒目の露出)を鏡で比較します。 片目だけ黒目の露出が少ない、上視で視界が楽になる、夕方ほど額を使って目を開ける癖が強い場合は眼瞼下垂の可能性が高いサインです。 視野の被り感や運転・読書の妨げがあれば受診を勧めます。
手術以外でできる対策は何ですか?
乾燥・摩擦の回避、UV対策、適切なクレンジング、温罨法と瞼縁ケア、表情筋の使い分け(眉の過剰な代償を減らす)で進行を緩やかにできます。 一時的に見た目を整えるテーピングやメイクの工夫もありますが、機能改善は限定的です。 視野障害や筋腱膜の弛緩が顕著な場合は根治的には手術が必要になります。
眼瞼下垂手術の種類と選び方を教えてください。
皮膚余剰が主なら皮膚切除、腱膜の緩みには腱膜前転・短縮、筋力が弱い場合は吊り上げ術などから所見に応じて選択します。 局所麻酔下で所要20分程度の日帰りが一般的で、腫れや内出血は1~2週間で改善することが多いです。 機能回復を最優先しつつ、左右差や瘢痕の最小化を目標にデザインします。
術後のダウンタイムと生活の注意点を教えてください。
当日は清潔保持と安静、首から下の入浴は翌日から、洗顔・洗髪は2日ほど控えます。 抜糸は1~2週目、1か月程度は激しい運動・強いこすり・アイメイクの刺激を避けます。 ハードコンタクトの再開は医師と相談し、摩擦が強い装用は控えめにします。
目の下のふくらみ(目袋)は何が原因ですか?どう治しますか?
眼窩脂肪の前方突出や皮膚・隔膜のゆるみが主因で、寝不足・塩分過多・アレルギー性の腫脹で増悪します。 生活是正とスキンケアで軽快しますが、構造的なふくらみは脂肪の処理や皮膚・隔膜の引き締めなど形成的アプローチが有効です。 色素沈着やクマが混在する場合は原因別に治療を組み合わせます。
たるみ予防の生活習慣チェックリスト(今日からできること)を教えてください。
こすらない・引っ張らない、就寝前の画面時間を短縮、UVと乾燥対策、十分な睡眠、減塩と適度な運動でむくみを抑えることが基本です。 クレンジングは低刺激で、まつ毛の生え際メイクは控え、温罨法と瞼縁清拭を習慣化して眼表面の健康を保ちます。 コンタクトは装用時間・ケアを守り、症状がある日は眼鏡に切り替えると負担軽減になります。
まとめ
まぶた、目元のたるみの原因についてまとめました。皮膚や眼筋の衰えや、コンタクトレンズの装脱着やメイクなどの日常の習慣から、たるみは起こります。視野が狭まることで目に大きな負担がかかって眼瞼下垂となって生活に支障をきたすこともあります。ものを見るときにまぶたを引き上げるために眉をひそめるような仕草が出るようであれば、一度眼科を受診してみましょう。
その他の目の症状について
この記事の執筆者

略歴
- 京都大学薬学部卒
- 大阪大学医学部卒
- 大阪厚生年金病院
- 国立大阪南医療センター
- 星ケ丘厚生年金病院眼科部長
- たおもと大浦アイクリニック交野院 院長
資格
- 医師免許
- 日本眼科学会認定 眼科専門医
- 難病指定医
- 身体障害者福祉法第15条指定医師

略歴
- 関西医科大学医学部卒
- 関西医科大学附属病院
- 小倉記念病院
- 米国ジョンズ・ホプキンス大学
- 天理よろづ相談所病院
- 関西医科大学附属枚方病院
- 関西医科大学香里病院眼科部長・病院教授
- たおもと大浦アイクリニック香里院 院長
資格
- 医師免許
- 日本眼科学会認定 眼科専門医
- 難病指定医
- 身体障害者福祉法第15条指定医師